選抜高校野球: 中村、17歳差、兄弟鷹は34歳部長と主将

ベンチからグラウンドの選手を見守る中村の山本泰道部長(右)と山本泰生主将(右から2人目)=阪神甲子園球場で2017年3月20日、宮間俊樹撮影

 ○前橋育英(群馬)5−1中村(高知)●

 第89回センバツ第2日の20日、第3試合に40年ぶりに登場した中村(高知)の山本泰道(ひろみち)部長(34)と山本泰生(たいせい)主将(3年)は17歳差の兄弟だ。兄は指導者として、弟は主将として、互いを支え合いながら出場を果たした夢舞台。前橋育英(群馬)に1−5で敗れたが「兄弟で戦える幸せな舞台に全力で挑む」と誓い合った2人の「兄弟鷹(だか)」は聖地に羽ばたいた。

 泰道部長が中村の選手として野球に明け暮れていたある日、練習を終えて帰宅すると、母郁代さん(57)から1枚の写真を手渡された。「あなたに弟ができたの」。おなかの中の赤ちゃんが映ったエコー画像だった。「写真を見て驚くばかりだった」と泰道部長が振り返る。泰生主将が生まれた時、泰道部長は17歳。今の泰生主将と同じ年だった。

 泰道部長は京都教育大を卒業後、教員として高知市の県立高に着任。2008年に監督として母校・中村に戻ると、地元の市民と一緒になって、グラウンドに「想(おも)いは一つ甲子園」と書かれた横断幕を掲げた。

 兄弟が同じ家で暮らした期間は4年ほどだが、兄の後を追うように泰生主将も野球にのめり込んだ。「兄がいなかったら野球はやっていなかった」といい、小学2年で地元の少年野球チームに入団。泰道部長が練習のために打ってくれたノックに飛びついたことを、今でも覚えている。

 そして甲子園を目指す兄を追って中村へ進学。昨夏に発足した選手16人の新チームで主将に就任したが「実力不足。どうすれば主将として役目を果たせるだろう」と思い悩んでいた。「プレーだけじゃない。他の部分で引っ張れる主将を目指せばいい」。兄の一言に、泰生主将の迷いは消え去っていった。

 練習中は部長と主将として接する2人も、グラウンドを離れると「泰生」「お兄ちゃん」と呼び合う兄弟。「2人とも出場するとは、本当にこんなことが起こるなんて。全力を出し切って」。高校野球の審判員も務める父信彦さん(62)は、アルプススタンドから息子たちの姿を追った。

 「兄として泰生には『よく頑張ったな』と言いたい。夏に向けて成長を期待したい」と泰道部長。控えでベンチからナインを鼓舞した泰生主将も「部長と主将として甲子園に戻って来れたら」と前を見据える。仲の良い兄弟はまだしばらく、部長と主将のまま「三十二の瞳」を率い続ける。【岩間理紀、松原由佳】

2017年03月20日 19時53分

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