G20声明: 自由貿易に暗い影 保護主義、世界にリスク

 【バーデンバーデン(ドイツ南西部)三沢耕平、中西啓介】米国のトランプ政権誕生後、初の開催となった主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、貿易を巡り議論が紛糾。米国が難色を示したことで共同声明から「保護主義への対抗」を表明する文言が外された。「米国第一」を掲げるトランプ政権の誕生によって各国が「反保護主義」で一致できなかったことは、自由貿易と世界経済に暗い影を落としそうだ。

 「大統領は自由で公正な貿易を望んでいる」。初めてG20会議に臨むムニューシン米財務長官は、16日の記者会見で米国の立場を語った。これまでG20の財務相会議や首脳会議は「あらゆる形態の保護主義への対抗」を打ち出してきたが、米国は今回の会議で「公正な貿易」との表現を声明で使うよう主張した。

 しかしトランプ氏は自国産業の保護を優先する姿勢を示しており、米国にとっての「公正な貿易」は他国にとっては不利益になりかねない。中国は「われわれは保護貿易主義に反対し、世界経済の成長を促進するため協調する必要がある」(肖捷財政相)と主張したほか、フランスやイタリア、ブラジルなども米国の提案を受け入れず調整が難航。最後まで意見が一致せず、「保護主義への対抗」も「公正な貿易」も声明に盛り込まれなかった。

 G20が保護主義に対抗する決意を示してきたのは、英国の欧州連合(EU)離脱決定など各国が内向きの姿勢を強めることに懸念が高まっているためだ。トランプ政権は中国製品などに高い関税をかけることも示唆しており、各国が対抗措置をとるなど保護主義的な動きが広がれば貿易が停滞して、世界経済に大きな打撃になる恐れがある。

 G20はこれまでも先進国と新興国の間などで対立がみられたが、「多国間主義」を否定するトランプ政権の誕生によって協調がさらに難しくなったことが今回のG20で浮き彫りになり、ますます存在意義が問われることになりそうだ。

2017年03月19日 01時02分

2017 毎日新聞社 ALL Rights Reserved.

ホーム>毎日jp>経済> G20声明:自由貿易に暗い影 保護主義、世界にリスク